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ネット上の誹謗中傷対策、「発信者の電話番号」が開示請求の対象に

 本年8月31日に、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第4条第1項(いわゆるプロバイダ責任制限法)の発信者情報を定める省令の一部を改正する省令」が公布・施行されました。

  https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000095.html

 この改正は、発信者情報開示請求の対象となる発信者情報として、「発信者の電話番号」を追加するものです。


 いままでは、発信者情報開示請求手続により発信者(誹謗中傷の相手方)を特定しようとする場合、おおまかに


【ステップ1】SNSや匿名掲示板運営者〔コンテンツプロバイダ〕に対して、発信者のIPアドレス及びタイムスタンプの開示を求める仮処分の申立を行う。 (→開示されたIPアドレスから発信者が利用した通信会社〔アクセスプロバイダ〕を特定する)


【ステップ2】特定したアクセスプロバイダに対して、発信者の契約情報(氏名、住所等)の開示を求める発信者情報開示請求訴訟を行う。


という最低2つの裁判手続が必要であり、その分開示請求者に多大な経済的負担が掛かってしまうことが難点でした。また、アクセスプロバイダがアクセスログを保存している期間が3か月〜6か月程度であり、それを超えると開示不能になってしまうという点において、時間制限が厳しいことも難点でした。


 しかし、今回の政令改正で電話番号の開示が認められるようになると


【ステップ1’】SNSや匿名掲示板運営者〔コンテンツプロバイダ〕に対して、発信者の電話番号の開示を求める仮処分の申立(または発信者情報開示請求訴訟)を行う。 (→開示された電話番号から発信者が契約する電話会社を特定する)


【ステップ2’】特定した電話会社に対して、弁護士会照会(23条照会)制度を利用して発信者の契約情報(氏名、住所等)を特定する。


という発信者特定のための別ルートが開けることになります。弁護士会照会(23条照会)制度は、裁判所を経ずに行える簡便な手続きですので、費用抑制の面でも発信者特定までの時間短縮の面でも、被害者にとって新たな選択肢になることが期待されます。また、このルートではアクセスプロバイダのログ保存期間の問題を回避できますので、今まで時間制限の問題から開示請求を諦めざるを得なかったケースでも、開示が実現できる可能性が開かれます。

 発信者の電話番号の開示は、プロバイダがユーザーの電話番号を保持してなければ実現できないのはもちろんですが、それでは、プロバイダがユーザーの電話番号を保持している場合というのはどんなときでしょうか。


 まず、ユーザー認証や二段階認証にユーザーの電話番号を利用しているSNS(Facebook、Instagram、Twitter、LINE等)では、電話番号情報を保持している可能性があります。また、口コミサイトやインターネットショッピングサイトのレビュー欄なども、購買や配送等の目的で電話番号情報を保持している可能性はありそうです。

 

 なお、電話番号を保持している可能性があるサイトでも、当該ユーザーの電話番号を保持しているかどうかは個別具体的な事情によって変わってきますので、電話番号が開示されるかどうかはやってみなければわからない側面があるという点には注意が必要です。



 ネット上の誹謗中傷でお悩みなら、新横浜のタングラム法律事務所にご相談ください。

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